極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
祇堂さんが時計に目を落としながら尋ねてくる。

せっかく見知らぬ土地に来たのだから、周囲を散策してみたい。

だが調子に乗って体力を消費しすぎると体調を崩してしまうかも……と懸念がよぎった。

「……せっかく素敵な宿を取ってくださいましたし、ここで少しゆっくり過ごしませんか?」

彼は散策したいと思っていただろうか。申し訳ない気持ちで滞在を選択すると。

「そうだね。せっかくの慰安旅行だし、のんびり体を休めよう。俺も運転して少し疲れた」

彼は大きく背伸びをして体をほぐす。

私がどちらを選択しても、彼はきっと賛同してくれただろう。『運転して少し疲れた』は本音かもしれないし、私に合わせてくれたのかもしれない。

でも「ごめん」よりも「ありがとう」と言おうとさっき心に決めたばかり。彼の優しさに素直に甘えさせてもらおう。

「確かティーセットのルームサービスがあったはず。お茶を飲みながら景色を堪能しようか」

私の手を引いてデッキチェアに座るよう促すと、一度サロンに戻りフロントに電話をかけた。

しばらくすると、スタッフが茶菓子セットを持ってきてくれた。

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