極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
待っている間に眠ってしまったのだろう。

私にブランケットをかけてくれたのは、きっと彼だ。当の彼は隣のデッキチェアで私と同じく、眠り込んでいる。

でも、自分にはなにもかけなかったよう。風邪を引いてしまわないか心配になってきた。

チェアから起き上がり、ブランケットを持って彼のもとに近づく。

隣にしゃがみ込み、ブランケットをかけようとしてぴたりと止まった。

あまりにも綺麗な寝顔に、目的も忘れてじっと見入ってしまう。

今はすやすや眠っていて、どこかあどけない。でもやっぱりキリッとした精悍さもあって、素直に格好いいと思う。

これまで男性の好みなんてあまり考えなかったけれど、私はひょっとすると、こういう顔が好みなのかもしれない。

ううん、きっと顔だけじゃない。

祇堂さんだから好きなんだ。彼が優しくて、気遣い上手で、尊敬できる人間だから、輪をかけて魅力的に見えるんだ。

それってもしかして、私にとって祇堂さんは特別ってこと?

ぼんやりと考えを巡らせながら、眠る彼の横顔を見つめていると。

彼の目がぱちりと開き、思わず「ひゃあ」と尻もちをついた。

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