極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
私の体は、そういう行為に耐えられるの?

主治医からは『過度な運動や、急激に血圧が上がるようなことはしないように』と言われている。

するとは思っていなかったから聞きもしなかったけれど、おそらく条件から鑑みるに、私の体は性交渉に耐えられない。

お付き合いが発展して結婚に至ったとしても、妊娠、出産は難しいだろう。

いや、それ以前に。

もしお付き合いすることになったら、恋人に真実を――難病を患っていると打ち明けなければ。

「……言えない」

背筋がすうっと冷たくなり、全身の血の気が引く。

病を打ち明ければ、彼に嫌われるだけじゃない。仕事だって失うかもしれないんだ。

じゃあ隠し続ける? ううん、それは不誠実だ。

なにより、とても隠しきれない。この体は少し運動しただけで息切れしてしまうし、眩暈が酷くなったり、意識を失ったりすることだってある。

かといって彼が社長である限り、この秘密は打ち明けられない。

「そんな……」

八方塞がりだと気づき、じわりと視界が滲んだ。

せっかく好きな人と想い合えたのに、一緒になれないなんて。

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