極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
「ふたりきりのときは、名前で呼んで」
「名前って……」
翔琉さん、と?
戸惑う私に笑みをこぼし、彼は部屋を出ていく。
「翔琉さん、か……」
冷えたミネラルウォーターをグラスに注ぎながら、誰もいない空間に向かって声に出して練習してみる。
名前を呼んで彼が振り向いてくれたらどんなに嬉しいだろう。
着実に縮まる距離。燃え上がる恋心。でも――。
「彼とお付き合いは……できない」
こんな隠し事まみれの私じゃあ、彼の隣に並ぶのに相応しくない。
そう理解していたはずなのに、さっきのキスはあまりにも突然すぎて、自覚したときには絆されていた。
「拒まなきゃいけなかったのに……」
あの情熱的で真摯な瞳に見つめられると、彼のことしか考えられなくなってしまう。
次にされても、拒めるかどうか。
「っ、なに弱気なことを言っているの」
拒むのは彼のためでもあるのだ。
「もしも私が、普通の女の子だったら……」
彼の気持ちに堂々と答えられただろうか。恋人になって、幸せいっぱいの日々を送れたのだろうか。
何度か死の危険を乗り越えて、生きているだけで幸せだと、そう思っていたけれど。
「名前って……」
翔琉さん、と?
戸惑う私に笑みをこぼし、彼は部屋を出ていく。
「翔琉さん、か……」
冷えたミネラルウォーターをグラスに注ぎながら、誰もいない空間に向かって声に出して練習してみる。
名前を呼んで彼が振り向いてくれたらどんなに嬉しいだろう。
着実に縮まる距離。燃え上がる恋心。でも――。
「彼とお付き合いは……できない」
こんな隠し事まみれの私じゃあ、彼の隣に並ぶのに相応しくない。
そう理解していたはずなのに、さっきのキスはあまりにも突然すぎて、自覚したときには絆されていた。
「拒まなきゃいけなかったのに……」
あの情熱的で真摯な瞳に見つめられると、彼のことしか考えられなくなってしまう。
次にされても、拒めるかどうか。
「っ、なに弱気なことを言っているの」
拒むのは彼のためでもあるのだ。
「もしも私が、普通の女の子だったら……」
彼の気持ちに堂々と答えられただろうか。恋人になって、幸せいっぱいの日々を送れたのだろうか。
何度か死の危険を乗り越えて、生きているだけで幸せだと、そう思っていたけれど。