極上御曹司と最愛花嫁の幸せな結婚~余命0年の君を、生涯愛し抜く~
決して俺が理性的な慎み深い人間、というわけではない。本当はその瞬間にも抱きたい。

あるいは、健康な女性を相手にするならそうしたかもしれないが。

「彼女の体は、負荷に耐えられないだろう」

今は元気そうにしているが、少し体調のバランスが崩れただけで倒れてしまうような脆い体。

決して治らない病。今も薬で症状を押さえているだけで、いつ悪化するかわからない綱渡りの毎日を送っている。

仕事中も無理はさせまいと最大限気を遣ってはいるが、限界がある。あまり彼女ばかり優遇して、周りに詮索されても困る。

この旅行も、誘っていいものか悩んだ。

それでもあえて声をかけたのは、いろいろなものを見てほしかったから。

綺麗な景色や美味しい食事、温泉、旅先で過ごす時間。

そして都心では見られないような、美しい星空――彼女はその名にもある通り『星』が大好きだから。

「外に出て、星が見たいと言っていたよな」

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