絶交ゲーム
☆☆☆

詩子が私を連れてきた先はブランドショップだった。
そこのショーウィンドーには新作のバッグが並んでいる。
詩子はガラス越しにバッグを指差した。


「私、ずっとあれが欲しかったの」

「バッグ?」


値段を確認してみると15万円とある。
電子マネーで十分に買える金額だ。


「でもちょっと高いよね?」


詩子が値段を気にする様子で、こちらを見つめてくる。
私は「別に高くないじゃん」と、答えていた。

たった15万円のバッグを遠慮しているなんて信じられないくらいだ。
私達の働きの対価は50万円。

それならその分の買い物をしたって誰にも怒られないし、誰かを困らせることもないはずだ。


「買おうよ」

「いいの!?」


詩子の目が輝く。
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