絶交ゲーム
「どうして事故が起こったの?」


豊が出て行った瞬間、私は身を乗り出してそう質問をしていた。
浩二は少し驚いた表情を浮かべたけれど、すぐに当時の様子を思い出す様に視線を斜め上に向けた。


「あのとき、横断歩道の真ん中くらいにいたんだ。早く渡りきろうと思ってたんだけど、名前を呼ばれて立ち止まった」


私の心臓がドクンッと高鳴る


「豊が、俺を呼んでたんだ。浩二!って。確かに聞こえた」

「……それで?」

「それで、立ち止まって周囲を確認したけど豊はいなくて、気がついたから病院のベッドだった」


私はふっと息を吐き出した。
あのとき、浩二は完全に振り向いてはいなかった。

だから私と詩子の姿を見ていないのだ。
それが確認できただけでも収穫はあったと言える。


「それって、豊が原因で事故が起きたってこと?」
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