絶交ゲーム
☆☆☆

「おにさんこちら手のなる方へ」


空き教室の真ん中で結がふらふらと歩いている。
近づいてきたので両手を伸ばし、ふと思いついて片手に切り替えその頬を平手打ちした。

パチンッ! と乾いた音が教室に響き、弥生たちが歓声を上げる。
結は少しよろめいて左頬を抑える。

こけることはなかったけれど、それよりもずっと痛みを感じているはずだ。
頬を叩いた私の右手もヒリヒリしている。

目隠し布の奥から涙が流れ出してきた。
それでもみんな容赦しない。


「おにさんこちらは」は続いていく。
結がまたふらふらと歩き出したとき、締め切っていた空き教室のドアが開かれた。

そこに立っていたのは学年主任の女性の先生だった。
みんながハッと息を飲む音が聞こえてくる。

分厚いメガネの学年主任は大股で教室へ入った来たかと思うと、全員をにらみつけるように見回した。


「全員、今すぐ会議室に来なさい」


そんな、重たい声が聞こえてきたのだった。
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