ワケあり王子は社員食堂の女神に恋をする
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定食屋に入って既に一時間半が経過しようとしていた。
“〇隠しの里” は岳の言っていた通り、頼む料理どれもこれもがとても美味しいものばかりで参考になるもの満載であった。
この一時間半で出されたメニューに対し様々な論議をしてきたメニュー考案も少しずつまとまってきた頃、突然神谷が自分のスマホを取り出し桜葉達に尋ねてきたのである。
「ねぇ、千沙ちゃん達とライ〇交換したいんだけどいいかな? あ、もちろん潮君ともね!」
「いえ、俺は…遠慮しておきます」
「私とさよちゃんはいつでもウェルカムです~! ね、さよちゃん」
「あ…は、はい」
三杯目のビールを既に飲み干し、今まさに四杯目を頼もうとしていた千沙は、イケメンに囲まれメニュー考案も大体の目星がついたことで上機嫌に酔いが回っていた。
「良かった! じゃあ、俺のQRコードはこれね。二人共、連絡ちょうだいよ~、俺、結構寂しがり屋だから」
「キャー、絶対しますっ!」
この機会を逃してたまるものかと言わんばかりに、千沙が素早くQRコードにスマホをかざすと神谷のライ○アドレスを無難にゲット。
続いて桜葉も鞄からスマホを取り出そうとしていた時、その様子を凝視していた神谷が岳をチラッと見ながら口を開き始めようとした──
「実はさ~、二週間後にHASUMIビル完成記念パーティーがあってね、良かったら桜葉ちゃん、俺と一緒に…」
── のだが、
その言葉を岳が即座に遮ったのである。
「そうそうっ!
パーティーと言えば、鳴宮さん達に相談しようと思っていたことがあるんだけど……神谷が言っているそのパーティーで社員食堂の “新メニュー対決” っていうイベントを大々的にやろうかっていう企画が持ち上がってね。水口さんの意見も聞かなきゃと思っていたところなんだ…な、神谷っ」
「……え、あ、あぁ?」
突然岳から振られた寝耳に水のようなイベント企画 ── 神谷は岳の顔を呆然と眺めながら曖昧な返事をしてしまう。
そんな突然の提案話しにライ○交換をするタイミングを失った桜葉は咄嗟に千沙の顔を見る。
横から見る千沙の表情は丸い目を更にまん丸くして驚いている様子。