推しへの恋愛禁止令を出したのは推しの相方でした
ハルカside
「お疲れー」
「うん。お疲れ様」
「初めての握手会だったけど、楽しかったな」
「そうだね」
色んな人が来てくれた。沢山の想いを伝えてくれたファンが居てくれて嬉しかった。
そこで俺は握手会の出来事と先月の高台の情景を思い出す。
「あの子も来てたな...」
「あの子?」
「あぁ、前たまたまプライベートで会ったカナトファンの子。けっこう最後の方に来た、ショートカットで服はピンクのワンピースと白のカーディガン着てた...って流石に分かんねーか」
「もしかして2年前辛かった時期に僕に救われたって言ってくれた子かな...?」
「2年前...?」
俺たちがデビューしたのは1年前。カナトが言ってる子が玲那だとすると、彼女はデビューする前にカナトに会っていたというコトか...?
「2年前に会ったコトあるのか?」
「...思い当たるとしたら...いや、流石にないか」
何か思い当たるコトがありそうだが、それは俺には言わなかった。
「まぁでも本当にその子カナトのコト好きだから、今日来れて幸せだったと思うぞ」
「それなら良かった。ハルカが言った子はもちろん、今日来てくれた子皆幸せになってくれたら嬉しいな」
「そうだな」
本当にカナトは良い人だ。こういう人だから玲那や他の沢山の人を好きにさせるんだろうと思った。
もしまた玲那に会えたら、カナトと2年前に会ったコトがあるのか聞きたいと思った。しかしそんな都合よく会えるコトはないのだろうと思い、その思いはそっと胸に仕舞い込んだ。
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