飛んでる聖女はキスの味
 クリスティー、いやいやスコラディウスはハタと考えました。 (死ねと言われても、、、。)
ですが、その決断無くしてホワイティアを笑顔にすることは出来ないのです。 彼は覚悟を決めました。
 「今、ここで私はこの命を捨てましょう。 これでいいのですかな?」 「構わんのだな? では早速二も死んでもらうぞ。」
 激しい電が彼の頭上に突き刺さりました。 その勢いからか彼はベッドの向こうにまで吹き飛んでしまったのです。
気を失っている彼の耳元でまた声が聞こえました。 「さあ目覚めるがいい。 スコラディウスよ。」
 「ここは?」 「お前とホワイティアの寝室ではないか。 お忘れかな?」
辺りを見回していたスコラディウスは何とも言いようの無い懐かしさに身を震わせました。 「オー、ホワイティア。 お前がこれほどに愛しい女だったとは、、、。」
「スコラディウス殿。 思い出されたのですね? 良かった。」 彼女は初めて笑顔を見せてくれました。
 羽毛の毛布にくるまれて二人は何事も無かったように寝付いてしまいました。 余程に疲れていたものと思われますが、、、。
その夢の中でクリスティーは遥かな過去のカサブラーナ国を見たのでした。 何とも清々しい空気に包まれた清らかな国ではありませんか。
 「何とまた清らかな国なのだ? ザイミールとは全く違うではないか。」 「そうなのです。 ここが私とあなた様の故郷、カサブラーナでございます。」
「ということは俺はずいぶん昔にはカサブラーナの人間だったということなのか?」 「そうでございます。 あなた様はザイミールの軍隊と勇敢に戦われて命を落とされたのですよ。」
「その俺がなぜザイミールに?」 「そこまでは私にも分かりませぬ。 神のみぞ知ることでありましょう。」
 二人は宮殿を出て裏の森へと歩いていった。 「このような森が有ったのか?」
「ここはチリスピアの森と申します。 争いの心を静める森でございます。」 「争いの心を静める森だって?」
「そうです。 ですからあなた様もよくここへ来られたものです。」 「それなのに俺は戦って死んだのか?」
 ホワイティアは一本の古木を撫でながらスコラディウスを見詰めています。 「なんとまあ、麗しい、、、。」
スコラディウスもその古木に触れてみました。 「オー、これは確かに俺が最後に触れていた木だ。」
 「スコラディウス殿。 あなた様はこの木の蜜を舐めてからザイミールとの戦いにお出でになったんです。」 「そうだったのか。 悪かったな。 ホワイティア。」




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