環くんは、フォーク化現象に悩まされている
「カウンターに置いてあるでしょ。セルフの貸し出し機」


「最近、学園長が設置してくれたね。私たち図書委員の負担を減らしてあげたいからって」


「みんな勝手に借りるよ」


「導入したばかりってこともあって、機械の前で戸惑ってる人もいるし。使い方がわからない人には、説明をしないと」


「カウンターに貼ってあるじゃん。使い方の紙」


「本を探して欲しいって、お願いに来る人もたまにいるから」


「貸出機で本棚の場所を調べられるんでしょ? 俺たち図書委員がやる必要ってなくない?」


……う~ん。

……そう言われましても。


環くんは良いかもしれない。

図書委員の仕事をしていなくても、許されてしまう。

『マイペースな王子様だよね。そういうとこがカッコいい』って。


でも私は違うんだよ。

可愛さのかけらもない、地味な陰キャ。

さぼり魔の烙印なんて押されたくない。


それに思っちゃうんだ。

貸出機が私たちの仕事をしてくれるとしても、私ができることはやりたいなって。

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