環くんは、フォーク化現象に悩まされている

カウンターの向こうにいる、環くんファンの女の子達。

なぜか皆さんが、両指を絡める祈りポーズ。

神様に懇願するかのような真剣な顔で、私を見つめてくる。

『添い寝、添い寝』と脅迫コールの大合唱が、幻聴となって聞こえてきそうなんですけど。


環くんのお願いを聞いてあげるべきなのかな?

お昼休みの図書室で添い寝。

みんなの前で。


……うっぅぅぅぅぅ。


無理です、絶対に無理。

私の心臓、ドキドキが積もりすぎて爆発しちゃいそう。



環君は椅子に座る私の前にあるカウンターに手をつくと、私の顔を覗き込んできた。

グーっと顔の距離が縮められ、瞬時に私は背中をのけぞらせる。


「チョコちゃん、なんで逃げるの?」


「いつもみたく、頭を撫でるだけで勘弁してほしいな」


顔面の距離が近すぎなのも、ご勘弁願いたいです。


「俺と一緒に寝たくない?」


「図書委員のお仕事は、おろそかにはできないし」
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