環くんは、フォーク化現象に悩まされている


強い意志を宿した環くんの声が、高らかに響く。


「チョコちゃん、行こう」


手首をギュッと掴まれた。

強め引っ張られているけれど、手首に感じる痛みが心地いい。


このまま一生、離さないで欲しいな……


なーんて。

私の恥ずかしすぎる欲望は、声に出せそうもない。

ドキドキキュンキュンに襲われ中で、平常心を保つ余裕すらない。



「行ってら~」


「グッドラック!」


ニヤつきながら手を振る渚さんと那智さんに見送られ、私たちはエレベーター前を後にした。


私の前を歩く環くん。

何もしゃべらない。

どんな顔をしているのかわからない。


何を考えているのか気にはなるけれど。

手首を包み込む彼の温もりが、私に安心感を与えてくれる。


< 141 / 159 >

この作品をシェア

pagetop