環くんは、フォーク化現象に悩まされている
強い意志を宿した環くんの声が、高らかに響く。
「チョコちゃん、行こう」
手首をギュッと掴まれた。
強め引っ張られているけれど、手首に感じる痛みが心地いい。
このまま一生、離さないで欲しいな……
なーんて。
私の恥ずかしすぎる欲望は、声に出せそうもない。
ドキドキキュンキュンに襲われ中で、平常心を保つ余裕すらない。
「行ってら~」
「グッドラック!」
ニヤつきながら手を振る渚さんと那智さんに見送られ、私たちはエレベーター前を後にした。
私の前を歩く環くん。
何もしゃべらない。
どんな顔をしているのかわからない。
何を考えているのか気にはなるけれど。
手首を包み込む彼の温もりが、私に安心感を与えてくれる。