環くんは、フォーク化現象に悩まされている
「もういいよ!」
片側のほっぺだけに空気を詰め込み、ふてくされてしまった環くん。
「俺だって、凹むことがあるんだからね」
カウンターに手をつきながら、顔をぷいっ。
唇を尖らせ、連結椅子ベッドにバタリ。
隣に座る私に顔を見られたくないのか、うつむき状態でしょげてしまった。
添い寝を諦めてくれたこと、ホッとはしたよ。
これで私は、図書委員の仕事に専念できる。
でも……傷つけちゃったよね?
環くんには、無邪気に笑っていて欲しいんだけどな。
私の隣にいる時だけは。
だって私以外の前では、ほとんど笑わない人だから。
覚悟を決め、私は手を伸ばす。
「環くん、ごめんね」
声にめいっぱいの反省を溶かし、私の太もものすぐ横にある環くんの頭を優しく撫でてみた。