環くんは、フォーク化現象に悩まされている
そんなの当たり前かぁと納得しながら、昇降口に向かって歩き出す。
入学式の前に教室に入らなきゃ。
人が集まるところは苦手だな。
中学時代は友達がゼロだったし。
そんな私に
『高校入学初日に友達ができました』
……なーんて奇跡が起こるとは思えない。
教室についたら、存在を消して自分の席に座っていよう。
本を開いて、大好きな小説の世界に入り込んじゃえ。
そうすれば友達と笑い合う子たちを見て、心がチクチクせずにすむから。
悲しみの視線を地面に突き刺し、歩みを進める。
しばらくして、地面を蹴る音が聞こえてきた。