環くんは、フォーク化現象に悩まされている

ザッザ、ザッザ、ザッ。


誰かが私の横を通り過ぎていく。

と思ったら、いきなり足音が消えて無音に。

目を伏せる私の瞳には、男物のスニーカーが映っていて。


このまま歩いていたら、人にぶつかっちゃう。

急ブレーキをかけてはみたものの、脳からの指示はすでに手遅れ。


私の頭のてっぺんが、目の前に立つ男の子の胸に突き刺さってしまいました。


『わっ、ごごっ……ごめんなさい!』


申し訳なさすぎて、慌てて顔を上げる。

大丈夫だったかな?

2歩くらい、後ろによろけちゃったみたいだけど。


あれ?

この男の子って……


私は目を見開いたまま硬直化。


紫がかったサラサラの髪って。

桜の下で女子達に囲まれていた、あの美少年くんだ。
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