環くんは、フォーク化現象に悩まされている
では、お言葉に甘えて。


「環くん、そろそろ起きて」


「……んっ」


「食べよう、お昼ご飯」


片言っぽい日本語をこぼす私。

椅子ベッドの上で寝ている環くんの肩を、両手でゆすってみた。

夢の世界から引き戻そうとしてはみたものの、現実に戻りたくないのかな?


「手……手……チョコちゃんの手……」


環くんは目をつぶったまま、右手でカウンターのいろんな場所をポンポンしている。

触覚だけを頼りに、私の手を探しているみたいだけど。



うぅぅぅぅぅ……

可愛すぎるよ。

お寝ぼけ中というか、うとうと中というか。

私の手を差し出して、ぐっすり寝かせてあげたくなっちゃう。


でもカウンター前のこの場所は、伏見委員長に明け渡さなきゃいけないし。

心を強く持って、環くんを起こさなきゃ。

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