環くんは、フォーク化現象に悩まされている
あっ、あの……
図書室は走っちゃダメですよ。
なんて注意したら、倍返しで怒鳴られてしまいそう。
私は椅子に座ったまま、冷や汗たらり。
鬼の形相で走って来た女の子は、カウンターに片手をバン。
そしてジャンプ。
体を床と平行に浮かせたと思ったら、軽々とカウンターを飛び超えてきた。
宙を舞う美女に驚いて、私は立ち上がっちゃったんだけど。
目の前に着地した美女の鋭い眼圧が、なぜか私に突き刺さっていて。
ひぃえぇぇぇ……
怖いんですけど……
私の眼鏡と三つ編みが、恐怖でガタガタと震えだしてしまった。
「千夜湖さんだよね?」
「……はっ、はい」
この学園に「ちよこ」は私だけなので、間違いありません。
「環を甘やかしすぎ! いい加減にして!」