環くんは、フォーク化現象に悩まされている

「ったく、もう!」


仁科さんはあきれ顔のまま、パイプ椅子ベッドの前に進むと


「この本、借りるから」


カウンターの本を振り上げ、バコン。

寝ている環君の頭に命中させた。


私の瞳に映ったのは、暴力シーンだと思うのですが……

――現実の出来事だよね?

平和主義者の私は、オロオロと立ち尽くすことしかできない。



人を叩いちゃダメですよ。

図書室の本を凶器にしないでください。


そんな注意なんて、ビビりの私には到底無理で。

隣に立つ伏見委員長と視線を合わせ、二人で目をパチパチパチ。



「っ、痛ったぁ。叩いたの誰だよ」


(たまき)、寝てる場合じゃないでしょうが!」


「は? (さえ)? 本の角、おでこに刺さったんだけど」

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