環くんは、フォーク化現象に悩まされている
環くんは私の手首を掴むと
「チョコちゃん、早く行こう。お弁当食べに」
ルンルン声をはずませ、私をグイっとひっぱった。
「えっ、でも……」
地面に足の裏をべったりくっつけて、私は抵抗をしてみる。
環くん、気づいて。
仁科さんのこと、ちゃんと見て。
怒りの大噴火が起きちゃいそうだよ。
危機感に襲われた私。
数分後には、修羅場のど真ん中にいるのでは……
迫りくる不吉な未来を避けるため、私は環くんの手を振り払っちゃった。
「えっ? チョコちゃん?」
悲しみを溶かしたような環くんの驚き顔に、私はドキリ。
心臓が不快なほど、気持ち悪く疼く。