環くんは、フォーク化現象に悩まされている

「環、何言ってんのよ。こっちはね、おばあちゃんが書いていくれた料理ノートの分量通りに、調味料入れてるの。味が濃いから、私が作った卵焼きも残したわけ?」


「極甘な卵焼きしか、俺の舌は受け付けない」


「環の味覚なんて知るか!」



あれ?

おかしくない?


環くんはフォーク。

味覚がなくて、何を食べても味がしない体質。

でもケーキが作った料理だけは、唯一味を感じられるって言ってたけど。

仁科さんが作ったご飯の味は、ちゃんとわかるの?


ということは……

仁科さんも、私と同じケーキなんだ!


環くんは、仁科さんにしか見せない顔がある。

私よりも、仁科さんに心を開いている。


一緒に住んでいるって言うし

二人は『運命のフォークとケーキ』なのでは?


そうだよ、きっとそう。


じゃあ何のために、環くんは私にお昼ご飯を作らせているの?

お昼休みも放課後も、私の側にいるのはなぜ?



環くん、教えてよ。本当のこと……

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