環くんは、フォーク化現象に悩まされている
足が止まる。
動揺が荒波のように襲ってきて、私は壁に全身を隠した。
多目的室の前、紫の髪が揺れている。
まっすぐな黒髪のポニーテールもゆらゆらゆら。
壁があって顔は見えない。
でも……
「あんたね。私がせっかく作ってあげたのに、朝ごはん残すってどういう神経してるの?」
「食べる気分じゃなかった」
この声は間違いない。
環くんと仁科さん。
やっぱり二人は、一緒に住んでいるんだね。
昨日環くんも認めていたけど、信じたくなかったのになぁ。
絶対に見つかりたくなくて、私は完全に体を壁に隠す。
耳の神経をとがらせて、耳ダンボに。
「冴の料理、全体的に味濃すぎ」