【完結】魔法学院の華麗なるミスプリンス 〜婚約解消された次は、身代わりですか? はい、謹んでお受けいたします〜


 少年のひとりが、木の棒を剣に見立てて、オリアーナめがけて上から下に振り下ろした。彼女はすいと身体を翻し、棒を少年から取り上げ、逆に彼の喉元に突き立てる。

「ひっ、化け物……」
「化け物だなんて人聞き悪いな。――君たちが弱いだけだよ」

 澄まし顔を浮かべていたオリアーナの目つきが、そこで鋭さを帯びる。

「次セナに意地悪したら、ただじゃおかないよ」
「もうすでに手ぇ出してるだろ! この男やべぇ! 怪力ゴリラだ!」
「あ……いや、私は女で――」
「お前ら起きろ! 逃げるぞ。――っておい女子! んなうっとりした目でそいつのこと見んな。オレらの敵だぞ!」

 オリアーナはセナより背が高く、中性的な顔立ちをしている。落ち着いた振る舞いは、子どもらしくない。
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