【完結】魔法学院の華麗なるミスプリンス 〜婚約解消された次は、身代わりですか? はい、謹んでお受けいたします〜
「姉さん。ガードル夫妻の養子になる気はありませんか?」
「え……?」
突然の提案に、目をしばたかせる。ガードル侯爵夫妻は、アーネル公爵家の遠縁で、オリアーナとレイモンドが小さいころからとても可愛がってくれていた。
彼らには跡継ぎがおらず、昔から冗談混じりにオリアーナを養子にしたいと言っていた。彼らはオリアーナの両親がオリアーナに冷たく当たることを知っている上で、逃げ道を作ろうとしてくれていたのだ。この国の制度では、養子縁組を組むと、肉親との関係を法的に断絶することができる。
「姉さんは、両親と縁を切るべきだと思います。あの人たちと一緒にいたら、姉さんは本来の姉さんらしくいられません。姉さんのいいところも、あの人たちに潰されてしまう」
「…………」
「両親のことは、僕に任せてください。二度とあの人たちに振り回されることがないように、僕がなんとかします。だから、養子の件、考えてみてください」
一体、レイモンドは何を考えているのだろう。その鋭い眼差しの奥に、どんな考えがあるのか測れなかった。