婚約者の心の声を知りたいと流れ星に願ったら叶ってしまった
教師からの頼まれ事を終わらせたレティシアは、ふと足を止めた。歩いている先に婚約者の後ろ姿が見えたからだ。挨拶をすべきかすまいか悩んでいると、エリオルのつぶやきが聞こえてきた。
《今日はレティシアをまだ見かけていないな。だが偶然を装って会うのも限度があるか……。運よく会ったところで緊張して会話も満足にできないだろうし、我慢するしかない。いや待て、もう数日も会えていない。なんとか一目だけでも……》
婚約者の心の葛藤が脳内で直接再生され、戸惑わない人はいないだろう。
エリオルと会う回数が多いのは彼が生徒会長だからだと思っていたし、心の声と表情がまったく一致していないので、すぐに信じられるはずもなかった。
そもそも他人の声が聞こえるなんて荒唐無稽な話だ。誰かに相談したとしても、空想癖があると思われるのがオチだ。
それに、どう反応を返すのが正解かもわからない。
(……ここは一時撤退と参りましょう)
幸い、まだ向こうには気づかれていない。今のうちだと、そろりそろりと後退する。
《今日はレティシアをまだ見かけていないな。だが偶然を装って会うのも限度があるか……。運よく会ったところで緊張して会話も満足にできないだろうし、我慢するしかない。いや待て、もう数日も会えていない。なんとか一目だけでも……》
婚約者の心の葛藤が脳内で直接再生され、戸惑わない人はいないだろう。
エリオルと会う回数が多いのは彼が生徒会長だからだと思っていたし、心の声と表情がまったく一致していないので、すぐに信じられるはずもなかった。
そもそも他人の声が聞こえるなんて荒唐無稽な話だ。誰かに相談したとしても、空想癖があると思われるのがオチだ。
それに、どう反応を返すのが正解かもわからない。
(……ここは一時撤退と参りましょう)
幸い、まだ向こうには気づかれていない。今のうちだと、そろりそろりと後退する。