もう隠していられませんっ!
ピクリと七月くんの指が動く。

動いちゃ,だめ。

そうその,右手が重要なの。

私はスッと息を吸った。

勇気のおまじない。



「私,ドキドキしちゃう変態なのでっ! もう頭撫でるのだめです!!!!」



七月くんのと合わせれば簡単に包まれてしまう私の手とは違う。

腕は細く綺麗な筋があって,指は長く綺麗。

目に映るだけでも,他の人とは違う感情。



「それから,七月くんの匂いもすき。だから,抱き締めるのもだめっ」



それで,これが1番重要。

今の2つだけ聞いてくれたら,あとは普通のはずだから。



「私,こんなだけど……別れたく,ないです。ふらないで……」



私が握っていたはずの右手が逃げていく。

逃げていった右手は頭の裏に回り,左手は強く私を抱き締めた。



「りん,それ。抱き締めてって聞こえた」

「なっなんでっ」

「すっげ嬉しい」



ふっとこぼれた笑い声に,私は真っ赤になる。

見えてないけど,イケメンすぎるよ七月くん。



「で,でも……いいの,彼女が変態なの,嫌じゃないの?????」



大きな疑問符に,七月くんは笑った。



「なにそれ,誰が言ったの?」
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