お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 オリヴィアの便宜をはかるためにこの城に来たはずが、若い女性達に囲まれて盛り上がっていた。

「彼なりの情報収集なのでしょうね。あとで、こちらに回ってもらいましょう」

「いえ、本日はオリヴィア様との面会が最優先事項ですから、あそこで鼻の下を伸ばしている場合ではないのですよ、本当は」

 グレゴールは、いまだにオリヴィアと真の夫婦にはなっていない。

 そのためか国から連れてきた侍女ふたりは、実家にいた頃と変わらずオリヴィアをオリヴィア様と呼ぶ。

 そう呼ばれる度に、ほっとしてしまうのも事実だった。オリヴィアがこの国に来た最大の目的は、まだ、果たされていないというのに。

「ダミオンに来てもらって正解だったわね。ほら、侍女達が皆骨抜きになっているもの」

 バルコニーから見ているだけでもわかる。侍女達は皆、ダミオンにのぼせ上がってしまっている。

 王宮で働く侍女ともなれば、最低でも貴族の身分は必要となる。そんな彼女達にとって、見目麗しい商人というのは、ちょうどいい遊び相手なのだ。

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