お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 庭園内にウィナー商会の出張販売所をもうけたのは、侍女長の発案である――ということになっている。実際はオリヴィアの発案で、堂々とダミオンを王宮内に入れるためのものなのだが。

 ダミオンは、綺麗なハンカチや身を飾るためのリボン、安価なアクセサリーなどを台車に積んで持ってきて、侍女達が見やすいように庭園に販売所を作っていた。

 中には、なかなか手に入らない化粧品などもあって、侍女達の間では誰が購入するのか駆け引きが始まっているようだ。

「終わったら、侍女長に挨拶――と称して、こちらまで来るのだったわね」

「ええ、あの女。私とエリサの言いなりです」

 マリカがちょっと悪い顔をした。

 最初は敵だった侍女長だったが、今は持ちつ持たれつのいい関係だ。

王妃の予算の半分を持っていくことが許されている今、侍女長にとってオリヴィアはいい金づるだ。こちらも、必要がなければ侍女長を脅すようなこともない。

 オリヴィアが侍女長と今の関係を続けている限り、彼女はオリヴィアとの協力体制を崩そうとはしないだろう。

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