お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 昔から、ルークが危険をいとわないのは知っていた。だが、ここは他国の王宮。しかも、王妃の暮らす離宮だ。たとえ、本当の王妃ではなかったとしても、だ。

「逃げよう、オリヴィア」

「馬鹿なことは言わないで!」

 前にもされた提案。けれど、オリヴィアはそれを突っぱねた。

「幸せなら、黙って見守るつもりだった。だけど、これじゃ――」

「ルーク、あなた、ブロイラード伯爵家をつぶすつもりなの? 私とあなたの関係なんて、少し調べればすぐにわかってしまうわ」

 逃げよう、ともう一度提案してくれたのは嬉しかった。正直なところ、心が揺れなかったと言えば嘘になる。

 オリヴィアには見向きもしない夫を捨てて、王妃という立場なんて知らないことにして。

 この温かな手を取って、ここから出ていくことができたなら。

「できないのよ、ルーク。前にも言ったわ。私は、王家に準じる立場としての扱いを受けてきた。だから、役目を果たさなければならないの」

 自分の肩に載せられている責任がどれほど重いものか――知っているから。知らないわけにはいかなかったから。

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