お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
正式に婚約の話を進めるのは、魔獣の繁殖期が終わってからということになった。
王宮まで報告に行くにしても、ルークの実家に挨拶に行くにしても、魔獣討伐が終わらなければ無理だからだ。
となれば、さっさと魔獣討伐を終わらせてしまいたい。ますます張りきろうというものだ。
「オリヴィア様、以前より魔術の威力、上がっていませんか?」
側にいたエリサが、魔術で魔獣を焼き払ったオリヴィアに声をかけてきた。
マリカの義妹であるエリサもまた、オリヴィアの護衛を兼ねた侍女だ。
道端で生活していたのをオリヴィアが拾い、マリカの両親に預けて育ててもらった。いずれは働き口を見つけてやるつもりが、ちゃっかりマリカと同じ訓練を重ね、間諜としての能力を開花させていた逸材である。
『必要とあらば、敵のひとりやふたりや十人、私の魅力でたぶらかしてみせます』と豪語するハニートラップの達人であり、尋問術ならばマリカより上なのだそうだ。
「わかる? この繁殖期さえ乗り越えてしまえば、ルークのご両親にご挨拶でしょう。そう思うと、なんだか力がわいてくるみたいなのよね」