お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 手を伸ばすが遅い。ダミオンはオリヴィアの手をすり抜け、出て行ってしまった。ルークの笑い声に、肩を跳ね上げながら振り返る。

(……どうしよう)

 ふり返ったところで後悔した。

 来るなと言ったのに、二度も来た。文句を言ってやろうと思っていたはずなのに、言葉が喉でせき止められてしまったみたいに出てこない。

 会えなかった年月は、ルークを完全に大人の男性にしていた。あの頃からしっかり鍛えていたけれど、今はもっと筋肉質になっているようだ。

「……会いたかった」

 侍女達もいつの間にか姿を消してしまっていて、部屋の中にいるのはふたりだけ。

 あっという間にルークの手に捕らえられてしまって、腕の中に抱え込まれる。

「悔しいわ」

「悔しい?」

「こんなにあっさり掴まるなんて。鍛え方が足りないのかしらね」

 会いたかったのは、オリヴィアだって同じ。

 なのに、口から出てくるのはそんな可愛げのない言葉。頭の上からルークの笑い声が降ってきて、オリヴィアはますます膨れっ面になった。

「オリヴィアはずっとここで暮らしていたんだろ。俺は、あちこち渡り歩いてきたから」

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