お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 ダンメルス侯爵はシェルトの暮らす離宮へと出入りしているが、それはあくまでもシェルトが離宮にいることが前提となってのもの。シェルトが離宮を出ることに、グレゴールがいい顔をするはずはない。

「グレゴールは、シェルト殿下のことをどう思っているの? 王族教育を受けていることとか、魔術の才能があるとかいうのは知っているの?」

 シェルトは、水の魔術が得意だった。魔力量も豊富で、前線に立っても十分以上の働きを見せるだろう。

「いえ、それは知りませんが……」

 グレゴールにシェルトの本当の能力を悟らせるようなしくじりを侯爵がするはずもなかった。オリヴィアはにやりとした。

(今のって悪役みたいな顔になってないかしら……)

 ダンメルス侯爵が肩を跳ね上げたので、もしかしたらやりすぎたのではないかと不安になる。まあ、それはいい。

「だったら、グレゴールにはこう言うの。『王族が出ないのはまずい。恩赦で外に出られるようにして、シェルト殿下を矢面に立たせればいい』とね」

「それで納得しますか?」

「その時はこう付け足すのよ、意味ありげにね。『魔獣討伐で命を落とすのはしばしばあることだ』」

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