お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「これは……あまりよくないんじゃないかと思うの」
結局、オリヴィアにできることと言えば小声でルークに反抗することぐらいだった。
身体に回された腕には、ますます力が込められる。身近に感じるルークの体温。心臓の鼓動。オリヴィアの鼓動も跳ね上がってしまう。
「ルーク!」
「いいだろ。またすぐに会えなくなるんだから」
「それは、そうだけど……でも、今年の討伐期が終わったら、すぐに会いに行くわ」
ルークがこの城に滞在しているのは、魔獣討伐に協力するため。今年の討伐期が終わったら、話が出始めた婚約話を本格的に進めていくことになる。
「ルークのお父様とお母様にお目にかかるのも、久しぶりだもの。楽しみだわ」
今年の春は、オリヴィアはブロイラード領には行かなかった。兄に変わり、領地内を警戒する役を引き受けていたからだ。ブロイラード伯爵夫妻との再会も楽しみだ。
ルークの腕から抜け出すのは早くも諦めて、彼の胸に背中を預けてみる。しっかりと背中を受け止められれば安堵した。
「そうだな。両親もオリヴィアに会えるのを楽しみにしている」