お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】

 だって、嫁いだばかりの頃は、オリヴィアだってグレゴールときちんと信頼関係を築きたいと思っていた。

 あの時、ルークが皇太子だと知っていたら、きっともっと強く会いに来ない様にと主張していただろう。皇太子が他国の王妃に懸想しているなんて、洒落にならない。紛争の火種になりかねないのだから。

「だから、時々様子を見に行くことにしたんだ。少しばかり、苦労はしたけどな」

「様子?」

「……出てこい。クー」

 ポポッとよく知っている声がする。

 どこに隠れていたのか、ルークのマントの内側から鳩が現れた。

 オリヴィアとルークの間を、何度となく繋いでくれた鳩だ。この鳩がルークの言葉を届けてくれたから、オリヴィアは負けずにいられたのだ。

「その子、クーって言うのね」

 名を知ったら溢れる気持ちが止められなくなりそうで、名を聞くことすらしなかった。ルークは幾度も手紙をくれたけれど、オリヴィアは、一度も返事を書かなかったし。

「ああ。俺の使い魔だ」

「あなた、使役魔術なんて使えなかったでしょうに。いつ、身に着けたの?」

「オリヴィアが結婚してから」

「……冗談はよくないわ」

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