お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「長かったわね」

 居心地の悪さをごまかすみたいに、窓の外に目を向ける。

 今はすっかり馴染みとなった王都の景色。これで見納めになると思うと、感慨深い。

(離宮をこっそり抜け出して、王都中を走り回ったわよね)

 この地に支店を設けたウィナー商会にはずいぶん世話になった。

 トリッドとの出会いは幸運だった。

 その外にも、民の不満に耳を傾けるために、しばしばマリカやエリサと共に出かけた場所だ。好みの料理を出してくれる飲食店も、新鮮な食材を安く入手できる食料品店も皆覚えている。

「ずいぶん熱心に外を見ているんだな」

「そうよ。もう来ることはないでしょうしね」

 この国は、一時王妃として滞在した国ではあるけれど、この国に根を下ろそうという気はすぐに失われてしまった。離宮で暮らしていた間もずっと、間借りしているような気分であったのは否めない。それでも、この地で五年暮らした。この地にもオリヴィアの生活していた痕跡はたしかに残っているのだ。

「最初に来た時は、とても豊かな国に嫁ぐことになったのだと思ったの」

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