お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 だが、きっとこの国のことを思い出す時には、オリヴィアは常にわずかな痛みを覚えるのだろう。オリヴィアは、オリヴィアにできる限りのことはしたけれど――それでも。

「――オリヴィア」

 向かい側から、ルークが手を伸ばしてくる。オリヴィアの手に、彼の手が重ねられた。

 こうやって、手を取り合うのもずいぶん久しぶりだ。グレゴールと結婚していた間は、互いに距離を取っていたから。

 ルークの手の大きさを改めて感じ、胸がいっぱいになる。一度は離すしかなかった手。まさか、もう一度この手を取ることになるなんて。

「……これを」

 ルークが取り出したのは、一度受け取ったものの、返すしかなかった指輪だった。ルークの目と同じ色の石が、オリヴィアの目にはまぶしく映る。

「ずっと、持っていたの?」

「まあな――いつか、オリヴィアが自由になったら、その時にはもう一度結婚を申し込もうと思っていたし。先祖代々受け継いだものだし――それまで以上にお守りになる気がしたんだ」

 あの時に戻ったような気がした。ウェーゼルク辺境伯領の城壁。

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