お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 あざけるようなグレゴールの声。口を開いたら、彼をののしってしまいそうで、オリヴィアは唇を引き結んだ。

 なんのためにオリヴィアがここまで来たと思っているのだ。

「王妃の地位はくれてやる。必要な時には、着飾らせて人前に出してやろう――だが、俺の愛は期待するな」

 それだけ言い放つなり、グレゴールは自分の部屋へと続く扉を開き、姿を消してしまう。呼び止める間すら与えられなかった。残されたオリヴィアは茫然としてしまった。

(どういうつもり……? この国が、どうなってもいいということ?)

 愛は与えない、が王妃としては遇する。オリヴィアを追い返さなかっただけまし、か。

 オリヴィアはベッドに倒れこんだ。

「なんのために、ここに来たのよ、私は……!」

 初恋を捨てて、ここに嫁いだのではなかったか。

 グレゴールと、信頼関係を築くためにここに来たのではなかったか。

 ――それなのに。

 最初から、グレゴールはオリヴィアに向き合おうとはしなかった。彼の心の扉は、目の前で閉ざされたまま。

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