お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 肩が震える――滲むのは、悔し涙だろうか。それとも、悲しみの涙なのか。オリヴィア自身にもよくわからない。

 けれど、肩を震わせたのもごくわずかな間だけ。泣いていても何も解決しないのは、辺境の厳しい生活でよく理解していた。

(これは、部屋に戻った方がいいわね)

 ここでグレゴールを待っていたとしても、無駄になることだけは理解した。そっと扉の外に滑り出て、客室へと戻る。

「オリヴィア様、どうなさったのですか?」

 出迎えたマリカは、慌てた様子で駆け寄ってきた。

「陛下は、私を愛するつもりはないそうよ」

「わかりました殺りましょう」

 一息に言いきったマリカの目がすわっている。命じれば、すぐにでもグレゴールの寝室に向かいそうな勢いだ。オリヴィアは首を横に振った。

「それでは、意味がないわ。陛下が即位することで、ようやく落ち着きを取り戻したんだもの」

 幼い頃から側にいてくれた侍女だが、その分グレゴールの対応に腹が立っているようだ。

「わかりました。一服盛りましょう。薬なら持ってきました大丈夫ですお任せくださいオリヴィア様の言うことをなんでも聞くようにしてみせます」

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