お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 ――懇願するならば。

 そう、オリヴィアが懇願するのなら、口づけのひとつやふたつ、与えてやってもいい。彼女がそれなりに美しいのは、グレゴールも認めている。

 初夜の部屋でも、オリヴィアの表情は崩れることはなかった。

 グレゴールの「愛を求めるな」という言葉には、表情を変えかけたけれど、すぐにそれも取り繕ってしまった。

 面白くない。

 抱いてほしければ、オリヴィアの方からグレゴールの前で頭を垂れるべきなのだ。グレゴールは、この国の王なのだから。

 オリヴィアがなにを手放し、どんな覚悟でこの国に嫁いできたのか、グレゴールは知らない。知らないからこそ、傲慢に振る舞うことができた。

「ダンメルス侯爵。オリヴィアの部屋だが――離宮をひとつ、与えてやろうと思う」

 自室に戻ってきたグレゴールを叱ろうとしたダンメルス侯爵は、驚いた顔をしていた。

「ですが、陛下」

「いいだろ? 彼女はこちらの風習には馴染んでいない。他の者が来ない場所で、静かに過ごさせてやった方がいいと思うんだ――ああ、王妃としての役割は、きっちり果たしてもらうぞ」

 子を作る以外は、と心の中で付け足す。

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