お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
「そうそう、王都には、あなたの息子夫婦がいるわよね。母親が王妃の予算を横領したなんてことになったら、彼らも同罪かしら――それでは気の毒だから、こちらで手を打っておきましょうか?」
「――ひぃぃっ!」
扇で侍女長を指しながら笑ってやれば、彼女はぐるりと身を翻(ひるがえ)して走りだそうとした。自分の家族がどこにいるのか、オリヴィア達が知っているとは想像もしていなかったのだろう。
「逃がさないわよ!」
素早くマリカが侍女長の前に回り込み、腕を取って床に膝をつかせる。
オリヴィアはあえてゆっくりと立ち上がり、侍女長の方に歩み寄った。見下ろせば、こちらを見上げている侍女長はがたがたと震えている。
「まだ、話は終わっていなくてよ」
「ひ――い、命だけは……!」
侍女長は、ごくごく普通の女性だ。
彼女が暴れたところで、ウェーゼルク辺境伯家の暗部にはかなうはずもない。
再び悲鳴をあげたのは、背後にいるマリカが彼女の頬に冷たいナイフを当てたから。
頬のナイフの感触に侍女長が怯えているのをわかっていながらも、オリヴィアはマリカに侍女長を離すようには命令しなかった。
「――ひぃぃっ!」
扇で侍女長を指しながら笑ってやれば、彼女はぐるりと身を翻(ひるがえ)して走りだそうとした。自分の家族がどこにいるのか、オリヴィア達が知っているとは想像もしていなかったのだろう。
「逃がさないわよ!」
素早くマリカが侍女長の前に回り込み、腕を取って床に膝をつかせる。
オリヴィアはあえてゆっくりと立ち上がり、侍女長の方に歩み寄った。見下ろせば、こちらを見上げている侍女長はがたがたと震えている。
「まだ、話は終わっていなくてよ」
「ひ――い、命だけは……!」
侍女長は、ごくごく普通の女性だ。
彼女が暴れたところで、ウェーゼルク辺境伯家の暗部にはかなうはずもない。
再び悲鳴をあげたのは、背後にいるマリカが彼女の頬に冷たいナイフを当てたから。
頬のナイフの感触に侍女長が怯えているのをわかっていながらも、オリヴィアはマリカに侍女長を離すようには命令しなかった。