お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
エリサは、まず、色仕掛けで王宮を警備している兵士をたぶらかした。そして、侍女長についての話を聞きだしたのである。
エリサ曰く「手を握らせてやったらイチコロ」とのことなので、詳細については聞いていないが、侍女長の家族がどこに暮らしているのかを見つけ出すぐらいエリサにかかればたやすいことだった。
「息子夫婦……」
「ええ。私達、ウェーゼルク辺境伯家の人間ですからね。そのあたりのことは――まあ、あなたは身をもって今実感しているところでしょうけれど」
くすくすと笑いながら、オリヴィアは扇を開く。この扇、実に使いやすいと感心した。
侍女長の目には、悪役のように見えているだろう。
首筋に、背筋に、頬に。ちょうどいいタイミングを見逃さず、マリカはナイフを押し当てている。こういう脅しはエリサの方が得意なのだが、マリカもなかなかいい腕をしている。
「で、ですが……」
「ちょっと目をつぶってくれているだけでいい。王妃の予算の半額はあなたが好きに使えばいい。帳簿の改ざんに協力してもいいわよ」
本来被害者であるオリヴィアが、帳簿の改ざんに協力するというのだ。
エリサ曰く「手を握らせてやったらイチコロ」とのことなので、詳細については聞いていないが、侍女長の家族がどこに暮らしているのかを見つけ出すぐらいエリサにかかればたやすいことだった。
「息子夫婦……」
「ええ。私達、ウェーゼルク辺境伯家の人間ですからね。そのあたりのことは――まあ、あなたは身をもって今実感しているところでしょうけれど」
くすくすと笑いながら、オリヴィアは扇を開く。この扇、実に使いやすいと感心した。
侍女長の目には、悪役のように見えているだろう。
首筋に、背筋に、頬に。ちょうどいいタイミングを見逃さず、マリカはナイフを押し当てている。こういう脅しはエリサの方が得意なのだが、マリカもなかなかいい腕をしている。
「で、ですが……」
「ちょっと目をつぶってくれているだけでいい。王妃の予算の半額はあなたが好きに使えばいい。帳簿の改ざんに協力してもいいわよ」
本来被害者であるオリヴィアが、帳簿の改ざんに協力するというのだ。