お飾り王妃は華麗に退場いたします~クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね?~【極上の大逆転シリーズ】
 グレゴールのことだ。実家との連絡は、侍女長に把握させるつもりだろう。実家との連絡には、ウェーゼルク辺境伯家の暗号を使うから、侍女長に中身を改められたところで問題ない。

 ようやく解放された侍女長は、ふらふらと部屋を出ていく。

 自分の部屋に侵入できるような腕利きを、オリヴィアが連れてきていることに思い当たらなかったのが彼女の敗因だ。

「あら嫌だ、あの人、自分の持ち物を置いて行ってしまったわ。お金は届けてあげてくれる? 実家から持って来た宝石はこちらに戻して、彼女が買った宝石もお金と一緒に届けて頂戴」

「でも、オリヴィア様のお金で買ったんですよ?」

「いいからいいから。飴(あめ)と鞭って言うでしょう? 私の言うことを聞いておけば、甘い汁が吸えると思っておいてほしいの。少し、脅しすぎてしまったしね」

 納得いっていない様子だが、エリサは革袋とエメラルドを掴んで侍女長のあとを追っていった。ついでに今後の方針について侍女長と話をしてきてくれるだろう。

「さて、これで堂々と町に出かけられるようになったわね」

 面会はまず、侍女長を通すことになっている。

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