お飾り王妃は華麗に退場いたします～クズな夫は捨てて自由になっても構いませんよね？～【極上の大逆転シリーズ】

　侍女長にはこちらに待機してもらって、誰か来たら「王妃様は具合が悪い」と言ってもらうことにする。留守の間にグレゴールからの呼び出しが来た時はどうしようという懸念については、これで解決できることになった。

　

　侍女長と「契約」した翌日。オリヴィアはさっそく城下町に出かけることにした。

　今回はマリカとエリサの両方を伴っている。オリヴィアはちょっといいところのお嬢さん風の装い。マリカとエリサは付き添いのメイドの装いだ。

「オリヴィア様、今日はどうするおつもりなのですか？」

「ウィナー商会に行くわ。商会の人が、こちらに店を開くことにしたのですって」

　お飾りの王妃になれと言われてすぐ、ウィナー商会の者をこの国によこすよう連絡しておいた。もともとオリヴィアの輿入れを契機に、こちらでも店を開く予定だったと言うから、誰かついている頃合いだろう。

　ウィナー商会は、イリアーヌ王国内で絶大な勢力を持っている商会である。イリアーヌ王国の商業のうち半数以上は、ウィナー商会が行っているといっても過言ではない。

　ウィナー商会の店が置かれる予定の場所を訪れて声をかける。