龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?

ザラードはやっぱり飛竜訓練でもなかなか飛行技術をマスターできなくて、涙を浮かべながらも居残り練習をしていた。

「くそっ…もう一度!」 

1日に何十回落ちても、繰り返し繰り返し騎乗する。
その根性は眼を見張るものがあり、努力のかいあって毎日毎日少しずつ 少しずつ改善され、落ちる回数が減ってきてる。

で、意外だったのがぼんぼんのハワード。他の訓練では散々だったのに、飛竜訓練ではリリアナさんと同じくらいの時期にマスターしたんだ。

「へぇ、あんたもやるじゃん。竜騎士の適性あるかもね」

あたしだって、嫌な相手でも長所があれば褒める……というか。ハワードはわかりやすいやつだから、わざと大げさに褒めた。

「ふっ…あたりまえさ!ボクの才能はこんなものじゃない」
「そうだねーすごいねーてんさいだねーせかいいちだねー」

完全な棒読み口調でも、ハワードは調子に乗ってくれた。実に扱いやすい。

「さあ、みんな!この調子で竜騎士になるぞ!」 

ハワードはみんなの前で拳を振り上げ、すっかりリーダー気取りだけど。周りを鼓舞する盛り上げ役がいると助かるね。

「おお!」
「現役竜騎士に、ぼくらの実力見せてビビらせようぜ!」

男の子ってそういう雰囲気が好きなのか、よくノッてる。対するリリアナさん達女子は男子を白い目で見つつ、黙々と訓練に励んでた。

最後の後片付けで「ちょっと男子、真面目にお掃除してくださいな!」と女子が怒るのもお約束だった。

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