龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
あたしが恐る恐る訊ねてみると、リリアナさんが「あら」と髪をかき上げる。
「そんな事はあたりまえですわ。ねえ、皆さん」
「はい!わたくしでもよろしければお友達にさせてください」
「アリシアさんにはずいぶんお世話になっていますもの。困ったことがあればいつでもおっしゃってくださいな」
マリナさんとカリンさんまでそんなふうに言ってくれて……。
今まで、同年代の女の子とほとんど接したことがなかったから、友達とか友人とかよくわからなくて……憧れていても、無理だなと諦めていた。
でも、この人たちは身分に関係なく“あたし”を認めてくれた。
それは、例えようもなく嬉しくて幸せな時だった。
「ありがとう……リリアナさん、マリナさん、カリンさん……」
嬉しすぎてまた涙がこみ上げてきそうだけど、それどころじゃない。お三方がとんでもないことを言い出し始めたので止めねば。
「やはり、ヴァイス殿下にはアリシアさんとの事をきちんと申し上げねばなりませんわね」
「はい、リリアナ様。わたくしもお供いたしますわ!」
「あたくし、アプリコット城に訪問する旨の使者を立てておきますわ」
なんか……とんでもないことに、令嬢方がヴァイスさんに突撃する相談をされてますよ。
「あのー…だから、あたしは大丈夫だって……ヴァイスさんに話をしてみるから」
あたしがそう言っても、令嬢方に睨まれてしまいましたが。
「アリシアさんは遠慮するからだめですわ!ここはひとつ、第三者よりビシッと言うべきですのよ」
「そうですわ!アリシアさんはもっとお怒りになってもよろしいのですわよ!!」
……なぜか本人より令嬢方がヒートアップしていらして、これ以上口を挟む余地もありませんでした。