龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?

そんなこんなで、賑やかな結婚式。

リリアナさんたちと恋バナしたり、ザラードと親交を深めたり……。

ウゴルを食べすぎたバーミリオンが酔っぱらい状態で飛行ショーを披露したり、酔っぱらいのおばあさまがまた脱ぎだしたり、キルシェが男の子と仲良くなったり…。

しまいにはお忍びで女王陛下や王配にまで参加され、本当に楽しい披露宴だった。

式で着たのは、デビュタントで身につけたあの思い出のドレス。
ヴァイスと思いを通わせることが出来た、オーパン・バルでのものだった。

少しだけ疲れて、みんなから離れた場所で腰を下ろす。
ガサッと草を踏み分ける音がして振り向けば、ヴァイスも同じことを考えていたらしく、あたしのすぐ横に座った。

「アリシア、疲れた?」
「少しだけ…でも、すごく楽しいし、幸せだなぁ…って思うよ」

少しだけ甘えたくて、ヴァイスの肩に頭をもたれさせる。彼の腕があたしの肩を抱き寄せ、そのままコテンと身体を預けた。

「……そうですね。私も、楽しいし幸せですよ。アリシア…あなたがいるから」

そっと、ヴァイスは唇を重ねてきた。それだけで疲れなんて吹っ飛んでしまうけど。

(きっとヴァイスはこれを知ったら驚くよね)

あたしは悪戯っぽい笑みを浮かべると、ヴァイスの耳に顔を近づけ、とある報告をした。


ーー新しく未来へ繋がる命を授かったことを。


(終わり)
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