龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?

ガラスのティーポットと、ティーカップにミルクピッチャーや砂糖壺。お皿には見たことがない色鮮やかな透明のお菓子。

まず一杯目は店員さんが注いでくれ、お菓子も切り分けて小皿に載せて供してくれる。

「ありがとうございます」 
「どうぞ、ごゆっくり」

丁寧なお辞儀をして店員さんが下がっていく。 

(ヴァイスさん遅いなあ……冷めたらいけないから、先にいただいちゃおう)

ティーカップをソーサーごと持ち上げ、まずはひとくち口にしてみる。そして、驚いた。

「これ……水出しのハーブティーだ……」

しかも、カモミールとレモンバーベナ、ミント、リンデン……緊張感を緩和して鎮痛効果のある組み合わせだ。

ゆっくり喉を潤すと、ハーブの優しい香りが体に染み渡り、疲れも痛みも癒やされていく気がする。

ほっと息を吐くと、体から力が抜けていく。

お菓子を見ると、透明なお菓子で中には色とりどりのフルーツと花まで散りばめられていて、まるで宝石のよう。綺麗過ぎて一人で食べるのはもったいない。

(ヴァイスさんが帰ってくるまで待っておこう)

その間ハーブティーを飲んでのんびり待とうとしていたけれども、あまりにも心地よすぎていつの間にかまぶたが落ちていった。


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