再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
お皿に取り分けようとしている私の右手を阻止すると、控えめに口を開けた蒼汰さんがウニのパスタを求めてきた。

あの蒼汰さんが。
真面目で、絶対にこんなことをしないであろうと思っていた蒼汰さんが。

こんな風に、私の前で無防備に口を開けてパスタを待っているなんて。
……恥ずかしいけど、なんか嬉しいかも。

「じゃあ……」と、ウニのパスタをフォークに巻き付ける私。
巻いてあるパスタの上にとろとろのウニを乗っけてから、蒼汰さんの口元に差し出した。

パクっとパスタを食べると「お、めちゃくちゃ美味い!!」と感激している。


「ありがとう」

「お、美味しいですか?」

「めっちゃ。莉乃が食べさせてくれたからかな」

「ちっ……違いますっ!」


顔から火が出そうだ。

さっきから、恥ずかしいことばかり。
蒼汰さんが、なんとも思っていないのがまた不思議だ。

普通、こういうことするのって男性が嫌がるものなんじゃないの?

そんなことを考えつつ、残りのパスタをすべて完食。
和風パスタを食べ終えた蒼汰さんも、なにやらタッチパネルを操作している。


「デザート食べない?」

「あっ、いいですね。私、ティラミスがいい」

「俺はニューヨークチーズケーキにする。これもシェアしよう」
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