再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
こんなに嬉しいと思えたことは、今までで初めてかもしれない。


「俺、その間はクリニックを1週間くらい休診にするから。家族の時間にしよう」

「嬉しい……ありがとうございます!」


とびきりの笑顔を、蒼汰さんへ向ける。

憧れの結婚式と新婚旅行。
私たちが引き裂かれたときは、もう自分には一生縁がない言葉だと思っていた。

でも、蒼汰さんが全部ぜんぶ叶えてくれようとしている。


「俺の都合で申し訳ないんだけど、2ヶ後とかでもいいかな? その辺りでしか、休診出来なさそうで」

「それは……大丈夫です。別にその先でも。もう、ずっと一緒なんですから」

「あははっ、それもそうだな」


納得したかのように、笑いながらそう言った蒼汰さん。
でも、そうでしょう?

そんなの、いつになっても構わない。
だってもうこの先、離れることはないんだもの。

2ヶ月先でも、1年先でも。
蒼汰さんと、蒼斗と一緒に結婚式を挙げることができるのなら、いつだっていいんだ。


「よし、じゃあ決まり」

「……ちょっとダイエットしなきゃ」


と言ったあと、すぐに運ばれてきたのは先ほどオーダーしていたティラミス。
どうやら、ダイエットは明日から。

「あんまり痩せるなよ。抱き心地が悪くなる」と、涼しい顔をして言った蒼汰さんの言葉に、私は笑いをこらえながらデザートを楽しんだ。
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